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個展に寄せて

 


                      内田 園生  美術評論家連盟会員。元駐ヴァチカン特命全権大使

 いよいよ江花さんの近作が帰ってくる。今までの個展にも増して楽しみである。 というのは、彼女は、油絵作家としては、 「第一回ローマと花コンクール」などでも受賞している位有名であるが、今回は、油絵の他にイコンのように板を使ったり、日本から取り寄せた和紙を使ったり、それに英国製の新開発の絵の具や金箔まで用いて、新しいマチエールを追求した作品も多数展示されるからである。日本、イタリア、ビザンチン、英国の美術工芸が渾然一体となった様は壮観であり、世界の文化交流にも貢献しよう。

 江花さんの絵の特徴が以前からセザンヌの構図に学んだしっかりした構成を踏まえながら、音楽的叙情に溢れた暖かい心地良さにあることは衆知の通りであるが、この個性は前記の新しいマチエールによって一段と美しい花となって開いたようである。作品の中には与謝蕪村や池大雅の南画を彷彿とさせるものもあるが、それも具象作家と言われながら、心は高く天に遊んでいる江花さんの境地を表しているようである。今も私の家には部屋毎に江花さんの絵が掛かっていて、私達の心を暖めてくれている。

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